1 温暖化で増える異常気象で一番分かりやすいのが、熱波や猛暑の増加です。2003年と2007年にヨーロッパを熱波が襲いました。日本でも2007年に国内の最高気温記録が更新されました。温暖化が進めば、熱波のヨーロッパ襲撃は毎年恒例となり、日本では40℃超えが珍しくなくなるかもしれません。そうなれば、40℃以上の日が(多分)酷暑日と名づけられるようになるでしょう。また天気予報では日本地図上で最高気温が35℃以上の地点を赤、30℃以上の地点を黄色と表示している図をだすことがあります。このままでは今世紀中にも最高気温が40℃以上の地点を赤、35℃以上の地点を黄色と表示することになりそうです。
2 温暖化で降水量が二極化することで、相反するはずの洪水と干ばつ及び水不足が同時に増加します。
例えばアメリカでは2007年秋南部で干ばつが、北部ではハリケーンで洪水が起きました。ハリケーンシーズンでなくても、ある地点では温暖化で干ばつが、別の場所では海水の蒸発が活発になることで洪水が増加する可能性があります。
また降水量が二極化すると同地点で洪水と干ばつが増加することもあります。ここでは分かりやすくするためにありえないくらい超極端な仮定をします。降水量が不変でも現在の年間降水量分の雨が1月から6月の半年で降り、残りの半年全く雨が降らないとします。すると確実に洪水と干ばつや水不足が同時に増加することでしょう。このような降り方をされれば、降水量が増加したのに干ばつや水不足が増加えたり、降水量が減少したのに洪水が増加することもあります。ですから、何らかの研究機関の予測を見て、降水量が増加するらしいから干ばつや水不足は減少する、降水量が減少するらしいから洪水も減少すると判断するのは考えが甘いと言えます。
IPCCは日本については現在降水量の多い地域ではさらに増加し、少ない地域ではさらに減少するという予測をしています。つまり日本国内でも降水量の二極化が進むということです。もちろん、どちらの地域でも降水量だけでなく、降水パターンにも注意する必要があります。
世界規模ではヨーロッパは過去100年に降雨量が10〜40%増加し、南欧では干ばつが20%増加しています。また世界全体の降水量は今世紀中は増加すると予測されています。
3 海水の蒸発が活発になることで、台風やハリケーンが数は減少しますが、1つ1つの勢力は強大になります。もうすでに強力な台風やハリケーンは増加してきています。→(参考)このままではいずれ日本もアメリカを襲ったカトリーナのような台風に襲われるかもしれません。
最近起きた異常気象や気象以外の異変を箇条書きにしました。上記の内容を参考にして見てください。そして温暖化と関係あるかあなた自身が判断してください。なお、以下の最大風速は大部分がアメリカ式(1分平均)で、日本(10分平均)より高めにでています。
05年1月、ニューヨ−ク
で1月の降雪量が過去最高に。
05年8月、アメリカのルイジアナ州、ミシシッピ州をハリケーンカトリーナが襲う。最大風速は78m/s。死者1400人以上。
05年9月、アメリカのテキサス州をハリケーンリタが襲う。最大風速は78m/s。300万人に避難勧告、死者7人。
05年から06年にかけて日本で平成18年豪雪発生。12月12日に鹿児島市でその地点の12月史上最高降雪となる11cmを記録、新潟で暴風雪により送電設備が損傷し、65万戸が停電。2月5日に新潟県津南町でその地点の史上最高積雪となる416cmを記録。最終的な死者は152人に。
05年から06年にかけてインドのニューデリーを寒波が襲う。1月8日には過去70年で最低となる0.2℃を記録。(平年の平均気温は7℃)最終的な死者は300人近くに。
2006年2月、パプアニューギニアで過去40年で最悪の洪水。
2006年3月、オーストラリアに史上最強クラスのサイクロン"ラリー"襲来。最大風速は80m/s。最大瞬間風速は83m/s。ダーウィンで1ヶ月の最多降水量更新。
2006年3月、オーストラリアにサイクロン"モニカ"襲来。最大風速は51m/s。
2006年3月、オーストラリアのメルボルンで降雪。過去50年記録なし。
2006年4月、ヨーロッパのドナウ川が大量の雪解け水で氾濫。
2006年5月、台風1号が発生。最大風速は66m/s。日本式では50m/s。フィリピンで死者41人。またベトナム船籍の漁船18籍が沈没、損傷し、死者27人、行方不明者313人。
2006年6月、ヨーロッパの6月の月間平均気温が過去最高に。
2006年6〜7月、インドのコルタカとムンバイで洪水発生。死者500人。
2006年8月、中国南部で干ばつ1800万人に影響。
2006年8月、中央太平洋で最大級となる台風12号発生。最大風速は72m/s。日本式では55m/s。
2006年8〜10月、アフリカのエチオピアで洪水。死者600人。
2006年9月17日、台風13号の影響で宮崎県延岡市で竜巻発生。推定風速は50m/s〜69m/s。死者3人、負傷者151人、全壊家屋120。
2006年10月、台風19号が発生。中心気圧が24時間で75hPa低下し、最大風速は72m/s。その後、フィリピンを襲い、死者19人、行方不明者16人。
2006年11月、台風21号が発生。ベトナムで死者26人。
2006年度、兵庫県神戸市の冬日(最低気温0度以下)が観測史上初めてゼロに。
2007年初め、暖冬でロシアのモスクワの屋外スケート場使用不可、サンクトペテルブルクの動物園ではクマが目覚める。しかしロシアの2006年の平均気温は平年より2〜3℃低くなっていた。
2007年7月9日、アルゼンチンのブエノスアイレスで89年ぶりに雪が降る。
2007年7月、ベトナムの台風3号が梅雨前線を刺激し、九州で豪雨発生。さらに同月、台風4号が7月としては過去最大級の勢力で九州直撃。
2007年、オーストラリアで干ばつ。小麦価格が高騰し、日本の様々な商品の10月一斉値上げの一因に。
2007年9月、海水温が高いために南鳥島近海で発生した台風9号が神奈川県小田原市付近に上陸。首都圏を直撃した台風としては過去最大級の勢力で、瞬間最大風速は40m/s〜50m/s。
2007年9月、台風11号が前線を刺激し、青森県や秋田県で豪雨発生。
2007年10月、カリフォルニアで超大規模山火事発生。原因は放火ともいわれるが、乾燥と強い風により急速に燃え広がる。1週間で焼失面積2000平方km(東京都の面積は2187.58平方km)、避難者は50万人以上、焼失家屋は90以上。
2007年11月11日〜12日、低気圧の影響で青森で120年に1度ともいわれる豪雨が発生。青森市で1日の降水量が200ミリを超えるなど4地点で観測史上最高を記録。十和田市と七戸町では、1時間に100ミリ以上の降水量を記録。
2007年11月、バングラデシュに巨大サイクロン"シドル"襲来。最大風速は67m/sで、バングラデシュ全土が強風域に入った。暴風はもちろん、国土の低さから高潮の被害も発生。約28万世帯が家を失い、死者は1700人以上。
2007年11月21〜23日にかけて低気圧の影響で北海道、北陸で大豪雪。新潟では平年はまだ1cmの積雪の妙高市で70cmなど北日本の23地点で11月の最高積雪更新。また新潟の佐渡市では28.3mの最大瞬間風速を記録。北海道の大雪山系ホロカメットク山では短期間に大量の雪が降ったため、雪崩が発生し死者4人。平年より海水温が高いために、雪雲の材料になる水蒸気が多くなっていた可能性あり。
秋の平均気温が全国25箇所で過去最高に。広島が平年より1.8℃高い19.9℃。他にも高知市で20.8℃
、徳島市で20.2℃、高松市で20.2℃など。西日本地域平均では平年より1.6℃高く、戦後最高に。また降水量は平年の55%と過去最小に。
2008年1月11日、イラクのバグダッドで100年ぶりに雪が降る。異常気象ですが、白く輝く雪は市民に希望を与えることに。
2008年1月〜2月にかけて中国で50年ぶりの大豪雪。倒壊家屋22万3000戸、南省湘潭市で自動車工場倒壊、死者63人、復旧作業でも作業員11人が死亡、避難者180万人、送電設備損傷と石炭輸送が不能になったことで発電所が停止し、大規模停電発生。経済損失は70億ドル以上とも。
2008年、福岡の年間冬日数(最低気温0度以下)がゼロに。50年前は20日ありました。
2009年2月、オーストラリアに熱波襲来。メルボルンで7日に46.6℃を記録。その影響で同国史上最悪の山火事発生。死者は230人、焼失面積は東京都の2倍、キングレイクでは家屋の8割が失われました。
2009年2月14日、北海道付近の低気圧に向かって南から暖気が吹き込み、全国105箇所で2月の観測史上最高気温を記録。静岡では26℃を超え、7月の並みの気温に。
2010年4月、カナダの北極圏で降雨。
2010年夏、ロシアで熱波による山火事発生。577箇所が燃え、50人以上死亡。首都モスクワはスモックに覆われ、ガスマスクを付けて歩く人も。また小麦の生産量が1670万t減り、シカゴ市場では4割高に。一方、パキスタンでは50度を超える猛暑に。また洪水で1500人以上死亡。
2010年夏、日本各地で記録的猛暑に。6〜8月の平均気温は平年を1.64度超え、データがある最近113年で史上最高に。特に8月は平年を2.25度上回る。8月の熱中症による救急搬送は前年の4.4倍の2万8000人以上に、死者は8倍の64人。7月のエアコン出荷額が前年比26%増 扇風機は25.1%増。
8月5日、177箇所で35度以上の猛暑日に。
8月6日、北見で観測史上最高の37.1度を記録。青森市で36.6度など17箇所で観測史上最高気温記録。179箇所で35度以上の猛暑日に。230箇所でこの日までの2010年最高気温を記録。
8月17日、熱中症で1878人搬送。
9月1日、242地点で観測史上最高気温記録。157箇所で35度、789箇所で30度超え。
9月4日、岐阜県郡上市で39.1度、名古屋市で9月としては観測史上最高となる38度を記録。2010年で最多となる212箇所で35度以上の猛暑日に。
9月5日、京都府京田辺市で日本の9月としては観測史上最高となる39.9度を記録。ただし観測装置がツタまみれで疑惑の記録に。山形市の馬見ケ崎川河川敷で行われた日本一の芋煮会フェスティバルで、里芋の山形芋煮が6000千食、豚入りでみそ味の庄内芋煮が2500食余る。
12月初めヨーロッパに寒波襲来。ポーランドでは気温が-33度まで下がり、死者30人以上、イギリスではこの時期としては17年ぶりの降雪。
年末年始、オーストラリアで洪水。水位が9m以上になった場所も。
2012年5月6日、茨城や栃木で竜巻発生。死者1名。各地で雹や落雷。
5月12日大雨でアマゾン川支流のネグロ川の水位が29.81mと過去最高に。
2012年5月の落雷回数が前年の7倍の72万回に。
2012年6月、アメリカのワシントンで気温が6月としては最高の40度に、テネシー州では42.7度を記録。
2012年のアメリカの年間平均気温が過去最高に。
2013年1月、オーストラリアの首都もあるニューサウスウェールズ州で過去最高の47.7度を記録。
2013年3〜5月、近畿地方の降水量が過去最小。
2013年6月、旭川で初めて6月前半までに30度超の日が四日。
2013年7月、中国で猛暑。上海で最高気温35度以上の日が25日。浙江省の杭州でとある一週間のうち、40度超の日が6日。
2013年8月、上海で過去最高の40.8度を記録。オーストリアで過去最高の40.5度を記録。大阪で最高気温が17日連続35度以上。
2013年8月10日、日本の高知県四万十市西土佐用井で40.7度を記録。オーストリアで過去最高の40.5度を記録。猛暑日地点が今世紀最多の295地点。今まで最高だった212地点を更新。13時42分には日本観測史上最高の41.0度を記録。
2013年8月11日、都心で過去最高となる最低気温30.4度を記録。5月末からこの日までに全国で熱中症による病院搬送が約4万件。
2013年8月13日、日本の高知県四万十市西土佐用井で日本で初めて40度以上を4日連続で記録。
2013年の日本の夏の平均気温が平年を1.06度超え、過去4番目の暑さに。西日本は1.2度超え、過去最高に。全国125地点で過去最高気温記録。
2013年10月、台風24号から変わった温帯低気圧によるフェーン現象で季節外れの暑さに。新潟県糸魚川市で観測史上初の35度超え。
2013年11月、台風30号が中心気圧895hPa、最大風速でフィリピンに上陸。死者6000人以上。
2013年、1月と12月にエルサレムで積雪。
2013年、世界の平均気温が平年を0.2度超え、過去2番目の高さに。
2014年1月、北米に猛烈な寒波。アトランタで-14度、ニューヨークで-16度、シカゴで-26度、ミネソタ州ブリムソンで-40度。7日にはハワイを含むすべての州で、最低気温が氷点下に。ナイアガラの滝が凍結。21日には大雪でホワイトハウスが休業。
2014年2月8日、東京で戦後4番目となる27センチの積雪。
2014年2月15日、またしても東京で27センチの積雪。甲府では史上最高の114センチ。1998年に記録した49センチの倍以上。
2014年5月、29日に札幌で47年ぶりに最高気温が30度以上に。30日には過去最多の266の観測地点で30度以上に。しかし、翌日に記録更新。31日は315の観測地点で30度以上に。大分県の日田では35.6度と5月に猛暑日に。
2014年6月、北海道で猛暑に。3日に音更町駒場で37.8度と真夏でもないのに北海道の観測史上最高記録タイを記録。この地点では最高記録を1.6度更新。全国18地点で35度以上になりましたが、この内17地点が北海道。4日、富良野で36.8度を記録。またこの日の最高気温ランキングベスト30を北海道が独占。
2014年5月、5月の世界平均気温が過去最高に。
2015年9月、東日本太平洋側の降水量が平年の4倍以上、日照時間は3分の1ほどに。
2015年9月、台風21号により、与那国島で、81.1m/sの最大瞬間風速を記録。富士山以外では1966年の宮古島で記録された85.3m/s以来の強さ。
ヒートアイランド現象による猛暑、森林伐採によって山の治水能力が低下したために起きた洪水、など猛暑や洪水の全てが温暖化と関係あるわけではありません。また温暖化で巨大台風や集中豪雨も発生しやすくはなりますが、もっと過去に起きたもののようにたまたまという場合もあります。なので、異常気象を全て温暖化のせいにするのは控えたほうが良いと思います。